2017年10月06日
<VXの女たち・法廷編>初公判 首謀者特定せず実行役糾弾
北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム=当時45歳)が殺害された事件の公判が行われるマレーシア・クアラルンプール郊外の高等裁判所は、小高い丘の上にある。10月2日午前8時3分、急な坂道を勢いよく上ってきた護送車が庁舎の正面ロビーに横付けされた。
相次いで降りてきたのはベトナム人のドアン・ティ・フオン(29)とインドネシア人のシティ・アイシャ(25)。金正男氏殺害事件で起訴されてから7カ月。やつれて、目はうつろに見えた。防弾チョッキ姿で手錠を後ろ手にかけられ、正面玄関への階段を足早に駆け上がった。階段は、死刑台への階段と同じ13段。
マレーシアでは、2人が起訴されている計画的な殺人の罪で有罪になれば死刑が下る。2人の母国のベトナムとインドネシアでは「北朝鮮工作員にだまされただけ」と無実を信じる世論が大勢だ。
ムハマド・イスカンダル検事は冒頭陳述で、2人に殺意があったと糾弾を始めた。
「(猛毒の神経剤)VXを顔や目に塗った。被害者を殺害、もしくは死に至るけがをさせる意図があった」「(逃走した北朝鮮の)4容疑者によるいたずらビデオの撮影だったと説明しているが、殺害する意思を共有していた」「証拠や専門家の証言に基づき、4容疑者とともに殺害したことを明らかにする」
4容疑者とはリ・ジェナム(56)、ホン・ソンハク(33)、オ・ジョンギル(55)、リ・ジヒョン(32)。いずれも北朝鮮の外交官や政府機関の職員とされる。氏名は事件発生直後の記者会見で公表され、国際刑事警察機構(ICPO)のサイトにも載っている。しかし検察は冒頭陳述ではなぜか、4容疑者の氏名を特定しなかった。
「起訴内容が不明確だ」。4容疑者の氏名を明らかにするよう弁護側はすぐさま異議を申し立てたが、アズミ・アリフィン裁判官は棄却した。
2人の背後に北朝鮮の組織的関与があるのか。事件の全容解明が注目されるなか、計画を指示した首謀者を特定しないまま実行役を追及するという波乱含みのスタートとなった。【クアラルンプール平野光芳】
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金正男殺害事件の公判が2日、始まった。法廷で浮き彫りになった事実や事件の背後にある構図を追う。=随時掲載、敬称・呼称略
相次いで降りてきたのはベトナム人のドアン・ティ・フオン(29)とインドネシア人のシティ・アイシャ(25)。金正男氏殺害事件で起訴されてから7カ月。やつれて、目はうつろに見えた。防弾チョッキ姿で手錠を後ろ手にかけられ、正面玄関への階段を足早に駆け上がった。階段は、死刑台への階段と同じ13段。
マレーシアでは、2人が起訴されている計画的な殺人の罪で有罪になれば死刑が下る。2人の母国のベトナムとインドネシアでは「北朝鮮工作員にだまされただけ」と無実を信じる世論が大勢だ。
ムハマド・イスカンダル検事は冒頭陳述で、2人に殺意があったと糾弾を始めた。
「(猛毒の神経剤)VXを顔や目に塗った。被害者を殺害、もしくは死に至るけがをさせる意図があった」「(逃走した北朝鮮の)4容疑者によるいたずらビデオの撮影だったと説明しているが、殺害する意思を共有していた」「証拠や専門家の証言に基づき、4容疑者とともに殺害したことを明らかにする」
4容疑者とはリ・ジェナム(56)、ホン・ソンハク(33)、オ・ジョンギル(55)、リ・ジヒョン(32)。いずれも北朝鮮の外交官や政府機関の職員とされる。氏名は事件発生直後の記者会見で公表され、国際刑事警察機構(ICPO)のサイトにも載っている。しかし検察は冒頭陳述ではなぜか、4容疑者の氏名を特定しなかった。
「起訴内容が不明確だ」。4容疑者の氏名を明らかにするよう弁護側はすぐさま異議を申し立てたが、アズミ・アリフィン裁判官は棄却した。
2人の背後に北朝鮮の組織的関与があるのか。事件の全容解明が注目されるなか、計画を指示した首謀者を特定しないまま実行役を追及するという波乱含みのスタートとなった。【クアラルンプール平野光芳】
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金正男殺害事件の公判が2日、始まった。法廷で浮き彫りになった事実や事件の背後にある構図を追う。=随時掲載、敬称・呼称略
2017年10月04日
ヘリ墜落事故 有罪判決の操縦75歳男「今後も操縦する気ある」
兵庫県三木市のレジャー施設で2015年、ヘリコプターが墜落して乗員2人が重軽傷を負った事故で、ヘリを操縦し、業務上過失傷害などの罪に問われた大阪府四條畷市の無職中山儀光被告(75)の判決公判が4日、神戸地裁であった。倉成章裁判官は「操縦かんの適正な操作を怠った過失は大きい」とし、禁錮1年6月、執行猶予3年、罰金50万円(求刑禁錮1年6月、罰金50万円)を言い渡した。
判決によると、15年6月7日午後1時半ごろ、三木市の施設内の野球場で、技能審査を受けずにヘリを操縦し、無許可で離陸。飛行中の安全確保を怠り、ヘリを2〜3メートルの高さから墜落させ、同乗男性(52)に左肩骨折の重傷を負わせた。
同被告は7月の公判で「ヘリの操縦は私の人生で最もやりたかったことで、今後も操縦する気はある」などと述べた。同裁判官は「被害者への謝罪を誠実にし、軽率な行為を反省して二度とこのようなことがないように」と説諭した。
判決によると、15年6月7日午後1時半ごろ、三木市の施設内の野球場で、技能審査を受けずにヘリを操縦し、無許可で離陸。飛行中の安全確保を怠り、ヘリを2〜3メートルの高さから墜落させ、同乗男性(52)に左肩骨折の重傷を負わせた。
同被告は7月の公判で「ヘリの操縦は私の人生で最もやりたかったことで、今後も操縦する気はある」などと述べた。同裁判官は「被害者への謝罪を誠実にし、軽率な行為を反省して二度とこのようなことがないように」と説諭した。
2017年10月03日
逃走のベトナム人、無免許運転で起訴
大泉町で警察官が現行犯逮捕しようとした男が逃走した事件で、前橋地検は2日、道交法違反(無免許運転)の罪で、ベトナム国籍のグエン・バン・ハイ容疑者(31)を起訴した。
起訴状によると、ハイ被告は8月31日午前11時5分ごろ、大泉町で乗用車を無免許運転したとしている。
ハイ被告は職務質問した警察官の腕にかみつくなどして逃走し、9月1日夜に公務執行妨害の疑いで逮捕された。前橋地検は、公務執行妨害と傷害の送検容疑について処分保留とした。
起訴状によると、ハイ被告は8月31日午前11時5分ごろ、大泉町で乗用車を無免許運転したとしている。
ハイ被告は職務質問した警察官の腕にかみつくなどして逃走し、9月1日夜に公務執行妨害の疑いで逮捕された。前橋地検は、公務執行妨害と傷害の送検容疑について処分保留とした。
2017年10月02日
金正男氏殺害の初公判 容疑者2人は無罪主張
北朝鮮の最高指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が今年2月に殺害された事件で、実行犯として殺人罪で起訴された女性人2人の初公判が2日、マレーシアの首都クアラルンプール郊外の裁判所で始まった。両被告は共に、無罪を主張した。
正男氏は2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で搭乗を待つ間に、猛毒の神経剤「VX」で殺害された。国連が大量破壊兵器に分類するほどの猛毒を衆人環視の中で使った白昼堂々の犯行は、世界に衝撃を走らせた。正男氏は空港係員に異変を訴え、空港内の診療所に運ばれたが、数分後に死亡した。
ベトナム人のドアン・ティ・フォン(29)とインドネシア人のシティ・アイシャ(25)の両被告が、VXの入った液体を正男氏の顔にこすりつけたとされている。
一方の2人は、北朝鮮の工作員にだまされ、テレビ番組のためのいたずらだと思っていたと主張した。
北朝鮮政府は一切の関与を否定しているが、マレーシアの捜査当局は、北朝鮮国籍の男4人が同じ日にマレーシアを出国したと指摘。この4人が北朝鮮の工作員で、殺害に関与したとみている。
北朝鮮とマレーシアは事件以前は友好関係を築いていたが、この事件を機に互いの大使を国外退去させるなど、関係に亀裂が走った。
初公判の様子
8カ月前の事件について、殺人罪で起訴されたのは女性2人のみ。AFP通信によると、うなだれた両被告は手錠をはめられ、防弾チョッキを着けた状態で、クアラルンプール郊外シャーアラムの法廷前に集まった記者団の前を歩いて通り過ぎた。
インドネシア語とベトナム語の起訴状朗読の後、2人は通訳を通じて罪状認否で無罪を主張した。
有罪となれば2人は死刑判決を受ける可能性がある。弁護団は、2人はだまされたに過ぎず、真犯人は出国した北朝鮮工作員たちだと主張するものとみられる。
しかし、検察官は冒頭陳述で、逃亡した北朝鮮の男性4人だけでなく、この女性たちにも殺意があったと立証する方針を明らかにした。
正男氏は殺害時、満45歳。マレーシアで事実上の亡命生活を送り、中国政府と何らかのつながりがあるとみられていた。
異母弟の正恩氏に後継者争いで敗れたものの、依然として正恩氏の最高指導者の地位を脅かす存在だったため暗殺されたという説もあるが、多くの専門家はこれを否定している。
(英語記事 Kim Jong-nam murder: Women plead not guilty in Malaysia trial)
正男氏は2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で搭乗を待つ間に、猛毒の神経剤「VX」で殺害された。国連が大量破壊兵器に分類するほどの猛毒を衆人環視の中で使った白昼堂々の犯行は、世界に衝撃を走らせた。正男氏は空港係員に異変を訴え、空港内の診療所に運ばれたが、数分後に死亡した。
ベトナム人のドアン・ティ・フォン(29)とインドネシア人のシティ・アイシャ(25)の両被告が、VXの入った液体を正男氏の顔にこすりつけたとされている。
一方の2人は、北朝鮮の工作員にだまされ、テレビ番組のためのいたずらだと思っていたと主張した。
北朝鮮政府は一切の関与を否定しているが、マレーシアの捜査当局は、北朝鮮国籍の男4人が同じ日にマレーシアを出国したと指摘。この4人が北朝鮮の工作員で、殺害に関与したとみている。
北朝鮮とマレーシアは事件以前は友好関係を築いていたが、この事件を機に互いの大使を国外退去させるなど、関係に亀裂が走った。
初公判の様子
8カ月前の事件について、殺人罪で起訴されたのは女性2人のみ。AFP通信によると、うなだれた両被告は手錠をはめられ、防弾チョッキを着けた状態で、クアラルンプール郊外シャーアラムの法廷前に集まった記者団の前を歩いて通り過ぎた。
インドネシア語とベトナム語の起訴状朗読の後、2人は通訳を通じて罪状認否で無罪を主張した。
有罪となれば2人は死刑判決を受ける可能性がある。弁護団は、2人はだまされたに過ぎず、真犯人は出国した北朝鮮工作員たちだと主張するものとみられる。
しかし、検察官は冒頭陳述で、逃亡した北朝鮮の男性4人だけでなく、この女性たちにも殺意があったと立証する方針を明らかにした。
正男氏は殺害時、満45歳。マレーシアで事実上の亡命生活を送り、中国政府と何らかのつながりがあるとみられていた。
異母弟の正恩氏に後継者争いで敗れたものの、依然として正恩氏の最高指導者の地位を脅かす存在だったため暗殺されたという説もあるが、多くの専門家はこれを否定している。
(英語記事 Kim Jong-nam murder: Women plead not guilty in Malaysia trial)
2017年09月28日
「有罪」タトゥーと「無罪」のダンス 何が明暗を分けたのか?
この裁判を複雑な思いで見つめてきた人がいる。3年前に同じ大阪地裁で無罪判決を受けた、ダンスクラブ「NOON」の元経営者、金光正年さん(55)だ。
金光さんは2012年、無許可で客を踊らせたとして風俗営業法違反の疑いで逮捕・起訴された。
「『ダンスをさせた』として罪に問われることの意味がまだわかりません。私は人生の半分をダンスクラブという表現の場に費やしてきました。『ダンス』として規制することが正当なのか。判決で明らかにしてください」
こうした法廷での訴えが実り、金光さんは2014年、大阪地裁で無罪判決を受けた。検察側は控訴・上告したが、昨年には最高裁で無罪が確定している。
無罪判決の影響や、坂本龍一さんら著名人の呼びかけ、15万筆以上を集めた署名運動の広がりもあり、風営法は改正され、条文から「ダンス」の文字は消えた。 ダンスとタトゥーという分野の違いこそあれ、風営法裁判と医師法裁判には重なる部分も少なくない。
大阪府警による取り締まりの強化が問題の発火点となったこと。表現の自由や職業選択の自由と法規制が衝突したこと。双方の弁護団に共通して参加する弁護士もいる。
そうしたこともあって金光さんは増田被告と交流を持ち、医師法裁判を傍聴してきた。しかし、結果は厳しいものだった。
「ダンスに比べても、タトゥーはマイノリティー。『アウトロー』というイメージが強く、日本ではまだ文化として認められていないんでしょうね」 閉廷後の記者会見。増田被告は即日控訴したことを明らかにし、時折声を詰まらせながら、「悔しい」「納得できない」と繰り返した。
風営法裁判の弁護団の一員で、医師法裁判の主任弁護人を務める亀石倫子弁護士はこう語った。
「医師でなければタトゥーを入れることができないとしたら、この国から彫り師という職業はなくなり、日本の文化・伝統が失われます」
「彫り師という職業の人は日本に数千人しかいません。そしてタトゥーは日本の社会で嫌われがちな存在です。きょうの判決は『そんな人たちの権利や自由なんてどうでもいい』という社会を肯定するものです」
「多くの人は自分には関係ないと思うかもしれません。しかし、彫り師の職業の自由、表現の自由をないがしろにする社会の冷たさは、いつか私たちに返ってきます」
金光さんは2012年、無許可で客を踊らせたとして風俗営業法違反の疑いで逮捕・起訴された。
「『ダンスをさせた』として罪に問われることの意味がまだわかりません。私は人生の半分をダンスクラブという表現の場に費やしてきました。『ダンス』として規制することが正当なのか。判決で明らかにしてください」
こうした法廷での訴えが実り、金光さんは2014年、大阪地裁で無罪判決を受けた。検察側は控訴・上告したが、昨年には最高裁で無罪が確定している。
無罪判決の影響や、坂本龍一さんら著名人の呼びかけ、15万筆以上を集めた署名運動の広がりもあり、風営法は改正され、条文から「ダンス」の文字は消えた。 ダンスとタトゥーという分野の違いこそあれ、風営法裁判と医師法裁判には重なる部分も少なくない。
大阪府警による取り締まりの強化が問題の発火点となったこと。表現の自由や職業選択の自由と法規制が衝突したこと。双方の弁護団に共通して参加する弁護士もいる。
そうしたこともあって金光さんは増田被告と交流を持ち、医師法裁判を傍聴してきた。しかし、結果は厳しいものだった。
「ダンスに比べても、タトゥーはマイノリティー。『アウトロー』というイメージが強く、日本ではまだ文化として認められていないんでしょうね」 閉廷後の記者会見。増田被告は即日控訴したことを明らかにし、時折声を詰まらせながら、「悔しい」「納得できない」と繰り返した。
風営法裁判の弁護団の一員で、医師法裁判の主任弁護人を務める亀石倫子弁護士はこう語った。
「医師でなければタトゥーを入れることができないとしたら、この国から彫り師という職業はなくなり、日本の文化・伝統が失われます」
「彫り師という職業の人は日本に数千人しかいません。そしてタトゥーは日本の社会で嫌われがちな存在です。きょうの判決は『そんな人たちの権利や自由なんてどうでもいい』という社会を肯定するものです」
「多くの人は自分には関係ないと思うかもしれません。しかし、彫り師の職業の自由、表現の自由をないがしろにする社会の冷たさは、いつか私たちに返ってきます」
2017年09月27日
糸魚川大火初公判 起訴内容認める
2016年12月、新潟・糸魚川市で起きた大火で、業務上失火の罪に問われているラーメン店の元店主の初公判が開かれ、元店主は、起訴内容を認めた。
業務上失火の罪に問われているのは、新潟・糸魚川市の無職・周 顯和(しゅう・けんかず)被告(73)。
周被告は2016年12月、店の厨房で、水やタケノコが入った中華なべを火にかけたまま、火を消さずに帰宅。
加熱した鍋の火で、住宅や店舗など147棟を焼損させた罪に問われている。
27日の初公判で、周被告は、「間違っている点はない」と起訴内容を認めた。
検察側は、消防の報告や、近くの住民の聴取を証拠として提示。
周被告が、以前から鍋に火をかけたまま帰宅することがあり、大火前にも、鍋の底に穴を開けていたことなどを指摘した。
新潟総合テレビ/FNN
業務上失火の罪に問われているのは、新潟・糸魚川市の無職・周 顯和(しゅう・けんかず)被告(73)。
周被告は2016年12月、店の厨房で、水やタケノコが入った中華なべを火にかけたまま、火を消さずに帰宅。
加熱した鍋の火で、住宅や店舗など147棟を焼損させた罪に問われている。
27日の初公判で、周被告は、「間違っている点はない」と起訴内容を認めた。
検察側は、消防の報告や、近くの住民の聴取を証拠として提示。
周被告が、以前から鍋に火をかけたまま帰宅することがあり、大火前にも、鍋の底に穴を開けていたことなどを指摘した。
新潟総合テレビ/FNN
2017年09月25日
「良心的兵役拒否は無罪」1年間で5倍に…裁判所、国会に苦言
良心的兵役拒否者に無罪を言い渡した下級審裁判所の判決が50件を上回ったことが24日に確認された。特に、このうち35件が今年行われたものだ。良心的兵役拒否問題の解決に消極的な政府や国会、憲法裁判所、最高裁判所(大法院)に対し、態度の変化を求める一線の判事ら声が高まっている。
仁川(インチョン)地裁のイ・ドンギ判事は今月21日、現役兵として入営通知書を受けたが入隊しなかった容疑(兵役法違反)で起訴されたK氏(23)に無罪を言い渡した。2004年5月21日、ソウル南部地裁のイ・ジョンニョル判事が宗教的理由で入隊しなかったO氏など2人と、予備軍訓練を受けなかったH氏など3人に対し、初めて無罪を宣告してから、52番目の無罪判決だ。イ判事は「良心の自由は憲法の最高の理念である人間の尊厳と価値に直結する」としたうえで、「兵役法第88条第1項を適用して処罰するのは、憲法上の権利を不当に侵害したものであり、(K氏に)兵役義務の履行を拒否する正当な事由が存在すると見なければならない」と明らかにした。これまで裁判所は、「正当な事由」なしに入隊しない場合、3年以下の懲役に処することを定めている兵役法第88条第1項を良心的兵役拒否者に適用し、懲役1年6カ月の“量刑相場”をそのまま言い渡してきた。これに先立ち、20日には釜山(プサン)地裁東部支所のクォン・ギチョル部長判事も、良心的兵役拒否者2人に対する無罪判決文で、「代替服務の機会を提供すれば、国も国家的・公益的事業に服務できる資源を得られると共に、民主国家の理念的正当性を進展させることもできため、安保状況にも役立つ」として、代替服務制の導入を求めた。
2004年初の無罪判決以降、2007年に1件、2015年に6件、2016年に7件だった良心的兵役拒否の無罪判決は、今年に入って35件へと大幅に増えた。無罪判決に参加した判事の数も22人に達する。裁判所の相次ぐ無罪判決の背景には、2007年、代替服務制の導入を表明したにもかかわらず、それを撤回した政府の放置や、17〜19代国会における立法の挫折、6年間続いている憲法裁判所の最長期審理がある。無罪を宣告したある判事は「憲法裁などが変わる可能性がない状況で、良心的兵役拒否は兵役法の『正当な事由』に当たるという共感が判事たちの間で広がってきた」と話した。水原(スウォン)地裁のファン・ジェホ判事も2015年8月13日、無罪判決文で「国会は多数決の原理が支配しており、憲法裁も合憲決定をした前例がある」と指摘した後、「裁判所は『正当な事由』の解釈を通じてこの問題を解決することができる。少数者を保護するのは裁判所に与えられた任務であり義務」だとして、裁判所の役割を強調した。
無罪判決が相次ぐ中、代替服務制が導入されるかどうかに注目が集まっている。代替服務制の導入は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公約であり、国家人権委員会も7月、再び導入を勧告した。共に民主党のチョン・ヘチョル、イ・チョルヒ、パク・ジュミン議員は第20代国会で代替服務制の導入法案を発議しており、国防部も19日、国会国防委員会で「世論調査などを通じて総合対策づくりを検討している」と明らかにした。最高裁判所は2審の無罪判決3件を審理しているが、「良心的兵役拒否権を認める必要性があるが、立法を通じて解決すべき」と明らかにしたキム・ミョンス新任最高裁長官がどのような態度を示すかも注目される。良心的兵役拒否者を弁護するオ・ドゥジン弁護士は「国会と政府、最高裁判所と憲法裁が自分の位置から毎年数百人が収監される集団的な人権問題を一日も早く解決しなければならない」と要求した。
キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
仁川(インチョン)地裁のイ・ドンギ判事は今月21日、現役兵として入営通知書を受けたが入隊しなかった容疑(兵役法違反)で起訴されたK氏(23)に無罪を言い渡した。2004年5月21日、ソウル南部地裁のイ・ジョンニョル判事が宗教的理由で入隊しなかったO氏など2人と、予備軍訓練を受けなかったH氏など3人に対し、初めて無罪を宣告してから、52番目の無罪判決だ。イ判事は「良心の自由は憲法の最高の理念である人間の尊厳と価値に直結する」としたうえで、「兵役法第88条第1項を適用して処罰するのは、憲法上の権利を不当に侵害したものであり、(K氏に)兵役義務の履行を拒否する正当な事由が存在すると見なければならない」と明らかにした。これまで裁判所は、「正当な事由」なしに入隊しない場合、3年以下の懲役に処することを定めている兵役法第88条第1項を良心的兵役拒否者に適用し、懲役1年6カ月の“量刑相場”をそのまま言い渡してきた。これに先立ち、20日には釜山(プサン)地裁東部支所のクォン・ギチョル部長判事も、良心的兵役拒否者2人に対する無罪判決文で、「代替服務の機会を提供すれば、国も国家的・公益的事業に服務できる資源を得られると共に、民主国家の理念的正当性を進展させることもできため、安保状況にも役立つ」として、代替服務制の導入を求めた。
2004年初の無罪判決以降、2007年に1件、2015年に6件、2016年に7件だった良心的兵役拒否の無罪判決は、今年に入って35件へと大幅に増えた。無罪判決に参加した判事の数も22人に達する。裁判所の相次ぐ無罪判決の背景には、2007年、代替服務制の導入を表明したにもかかわらず、それを撤回した政府の放置や、17〜19代国会における立法の挫折、6年間続いている憲法裁判所の最長期審理がある。無罪を宣告したある判事は「憲法裁などが変わる可能性がない状況で、良心的兵役拒否は兵役法の『正当な事由』に当たるという共感が判事たちの間で広がってきた」と話した。水原(スウォン)地裁のファン・ジェホ判事も2015年8月13日、無罪判決文で「国会は多数決の原理が支配しており、憲法裁も合憲決定をした前例がある」と指摘した後、「裁判所は『正当な事由』の解釈を通じてこの問題を解決することができる。少数者を保護するのは裁判所に与えられた任務であり義務」だとして、裁判所の役割を強調した。
無罪判決が相次ぐ中、代替服務制が導入されるかどうかに注目が集まっている。代替服務制の導入は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公約であり、国家人権委員会も7月、再び導入を勧告した。共に民主党のチョン・ヘチョル、イ・チョルヒ、パク・ジュミン議員は第20代国会で代替服務制の導入法案を発議しており、国防部も19日、国会国防委員会で「世論調査などを通じて総合対策づくりを検討している」と明らかにした。最高裁判所は2審の無罪判決3件を審理しているが、「良心的兵役拒否権を認める必要性があるが、立法を通じて解決すべき」と明らかにしたキム・ミョンス新任最高裁長官がどのような態度を示すかも注目される。良心的兵役拒否者を弁護するオ・ドゥジン弁護士は「国会と政府、最高裁判所と憲法裁が自分の位置から毎年数百人が収監される集団的な人権問題を一日も早く解決しなければならない」と要求した。
キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
2017年09月22日
ジャーナリストの不起訴相当=女性が性被害主張―検察審
性的暴行を受けたとして女性から刑事告訴され、東京地検が不起訴処分とした元テレビ局社員でジャーナリストの50代男性について、東京第6検察審査会は22日までに、「裁定を覆すに足る事由がない」として不起訴処分を相当と議決した。
議決は21日付。
女性によると、2015年4月に男性と飲食した際に意識がなくなり、都内のホテルで性的な暴行を受けたとして警視庁に告訴。男性は準強姦(ごうかん)容疑で書類送検されたが、地検は昨年7月に不起訴処分にしたという。
議決は21日付。
女性によると、2015年4月に男性と飲食した際に意識がなくなり、都内のホテルで性的な暴行を受けたとして警視庁に告訴。男性は準強姦(ごうかん)容疑で書類送検されたが、地検は昨年7月に不起訴処分にしたという。
2017年09月21日
介護施設でお茶に睡眠薬 傷害の罪に問われた女が起訴内容認める
愛知県東海市の介護施設で従業員のお茶に睡眠薬を入れ、傷害の罪に問われた元従業員の女の初公判で女は起訴内容を認めました。
起訴状によりますと、東海市の介護施設元従業員、高屋律子被告(51)は2016年12月、当時勤めていた介護施設で持っていた睡眠薬を従業員用のお茶に入れ、それを飲んだ従業員10人に軽い薬物中毒の症状を起こさせたものです。21日名古屋地裁で開かれた初公判で高屋被告は「まちがいないです」と起訴内容を認めました。
起訴状によりますと、東海市の介護施設元従業員、高屋律子被告(51)は2016年12月、当時勤めていた介護施設で持っていた睡眠薬を従業員用のお茶に入れ、それを飲んだ従業員10人に軽い薬物中毒の症状を起こさせたものです。21日名古屋地裁で開かれた初公判で高屋被告は「まちがいないです」と起訴内容を認めました。
2017年09月20日
ブラジル国籍の男性の無罪確定 検察が控訴せず
電車内で昨年6月、女性にキスしたなどとして、強制わいせつの罪に問われたブラジル国籍の男性(44)の裁判で、無罪(求刑懲役2年)を言い渡した名古屋地裁判決が確定した。検察側が控訴期限の19日までに控訴しなかった。地検は「判決内容を検討した結果、判断を覆すのは困難と認められた」としている。
判決は、男性が電車内で20代の女性にキスし、自分の股間を触らせた行為はあったが、女性がはっきり拒絶しなかったことから、男性が自分に好意を抱いていると誤解していた可能性があると認定。「強制わいせつの故意はなく、犯罪の証明もない」と判断していた。
判決は、男性が電車内で20代の女性にキスし、自分の股間を触らせた行為はあったが、女性がはっきり拒絶しなかったことから、男性が自分に好意を抱いていると誤解していた可能性があると認定。「強制わいせつの故意はなく、犯罪の証明もない」と判断していた。